半径3mの教育論

〈教育雑感編〉

教育論

6025 指導か支援か

随分昔のことですが、ある先輩教師からこんなアドバイスをされました。 学習指導案ではなく、学習支援案を書くことが大切だ。できれば、生徒一人一人にあうような個別支援案を書くほうが望ましい。 当時は、「指導」ではなく「支援」という言葉を使うべきだ…

5939 型にはめる

先日読んだ「教えるということ」(出口治明 角川新書)からの学びです。 この本の中に出口さんと北海道にある立命館慶祥中高校の校長である久野信之さんの対談が紹介されていました。 久野さんの話です。 〈引用始まり〉 最初に型にはめないと、戻りようがな…

5897 斎藤秀雄の教え

「内外教育」(2024年7月5日)に辰野裕一さんが,指揮者・教育者の斎藤秀雄氏について書かれていました。 斎藤秀雄氏は,小澤征爾氏を育てたことで有名です。 小澤氏は,斎藤先生についてこう語っていました。 「斎藤先生は,僕たちにしっかりと基礎を入れ,…

5784 理想と現実の隔たり

今日の読売新聞に熊本大学准教授の苫野一徳さんの記事が掲載されていました。 苫野さんの発言は気になっていたので2冊の本ほど読んできました。 この記事の中で苫野さんは,こんなことを言っています。 〈引用はじまり〉 北欧や西欧などの多くの学校では,一…

5744 効率と幸福

読売新聞の「余白のチカラ」という特集を毎回,興味深く読んでいます。 2月11日の第1回では,岩手県で古民家民宿「苫屋」を経営する坂本久美子さんが紹介されていました。 この「苫屋」の特徴は,宿泊予約は手紙かはがきで行うしかないということです。 電話…

5434 ブラックジャック教員

教員不足に歯止めがかからない現状を打破するために,いろいろな施策をしている自治体が出てきています。中には,教員免許を持たなくても社会人教員として採用するというものも始まるそうです。教員不足がここまで深刻になった原因は,教員の待遇改善をして…

5191 古い本から学ぶことも大切

雨の休日。 外出せずに書斎の整理を行いました。 整理の途中で,昔読んだ本をペラペラとめくってみるといくつかの文章に目が留まりました。その2つを紹介します。 ①「間違いだらけの教育論」(諏訪哲二 光文社新書 2009年)より引用 「勉強するということは…

4991 教育の急激なデジタル化を憂う

今日の読売新聞は,なかなかいい記事があり,すぐにノートに書きだしました。 1つは,「ONLINEシンポジウム 教育の急激なデジタル化の問題を考える」です。 この中で,メモした部分です。 ①ミシェル・デミュルジェ氏の言葉「教師への投資を犠牲にしてデジタ…

4619 教師の喜びはこんなところにもある

9月頃から遅刻や欠席が増え,学校に来ても保健室にいることが多くなった女子生徒がいます。授業中も意欲がなく元気もありませんでした。気なって声をかけて励ましていましたが,なかなか改善しませんでした。そこで,10月に担任と一緒に両親と面談しました。…

4585 教師の顔が見えるような努力が必要

コロナの影響で,授業参観が中止なりました。通常であれば,4月,6月(全学級道徳授業公開),7月の3回実施されていたところです。この影響で,保護者に教師の顔が見えなくなっています。自分の子供がどんな教師から教えてもらっているのかが分からないので…

4484 足と脳

校長から令和3年度の校内人事の話がありました。所属学年が決まりましたので,4月からの1年間の作戦を練っています。この1年間で生徒をどうやって成長させるか,どうやってゴールに向かわせるか,そして,どんなゴールにするのか,定年まで2年ありますが,心…

4412 指導案に押印

来週行われる道徳研究授業の指導案が配布されていました。 ふと疑問に思ったことがあります。 それは,授業者名に押印されていることです。 今までに配布されてきた指導案もすべて押印されていました。 私は,指導案に押印はしません。 どうして,指導案に押…

4388 学びが深まるサイクル

「教師のチカラ44号」(日本標準)が届きました。パラパラとめくってちょっとだけ読んでみました。特に興味を持ち他の教育雑誌と大きく違うと感じた点を紹介します。 道徳授業実践の紹介について,深澤久先生や羽鳥悟先生などがコメント書かれています。普通…

4364 今こそ問われる校長の力量

今日は,朝から昼過ぎまで部活動の練習試合でした。 相手校の先生と雑談中の話題が,管理職のことでした。 コロナの影響で今年ほど校長の決断が注目される年はなかったと思います。 ということは校長の力量が試されたということです。 特に修学旅行や合唱コ…

4334 言葉にこだわる

昨晩の「佐世保教師塾」でN先生が言葉の意味を自分なりにどうとらえているかという話をしました。 教育業界用語を自分の言葉で説明してみようという演習もありました。 例えば,「個性」,「グローバル化」「国際社会的」などです。 これらの言葉は,学習指…

4161 すべては「信頼関係」

野口芳宏先生は,教育が成立する条件として,「信」「敬」「慕」を挙げられています。特に大切である「信」について,こう説明されています。 「信」 教育は信じ合う間柄においてのみ成立する。不信感を持つ人の言葉に耳を傾ける者はあるまい。教育はまず信…

4152 反省だけならサルでもできる

いよいよ8月1日から夏休みに入ります。 31日が前期前半(2学期制のため,妙な言い回しになっています)の最終日となります。 ということで,この日からいろいろな部会が開催されます。学年部会,教科部会,分掌部会などです。 やることは,前期前半の反省と…

4148 「好き」にさせるためには

読売新聞の「教育ルネサンス」のコーナーで赤坂真二先生が,こんなことを言われていました。 〈引用はじまり〉 「学級づくりとは,教員と子ども,そして子ども同士が人間関係を築くことだ。互いが信頼できれば学校は楽しい場所になり,学習意欲も向上する。…

4089 緊急職員会議

新型コロナ感染に伴い,4月から緊急職員会議が数回ありました。 昼休みに全職員を招集して,校長が大切なことを伝達するという流れです。 緊急な会議ですから,校内放送で集められます。昼休みと言っても,それぞれの教師は,仕事をしています。生徒会,補充…

4010 3月2日の記事の続き

卒業式が簡素化されて,卒業生とその保護者と教員ということになりました。 そのことについて,3月2日の記事に書いたことの続きです。 あのバタバタした日々のせいで,生徒のことを真剣に考えた教師がどれぐらいいたのでしょうか。 もちろん,生徒の安全が一…

4009 何を最優先にするべきか

昨日,市教委から卒業式を簡素化して行うようにという連絡を受けて,校長から,卒業生と保護者と職員と送辞を読む在校生代表が参加する式にするという話がありました。それを受けて先日の企画委員会で,3日(全校生徒が登校する最終日)に卒業生を見送る式を…

3974 読解力とは

野中信行先生のブログで興味をもち,「AIに負けない子どもを育てる」(新井紀子 東洋経済)を読んでいます。途中ですが,面白いと思ったのは「RST(リーディングスキルテスト)」体験版です。「RST」とは,事実について書かれている短い文章を正確に…

3959 知識は武器だ

明日発行予定の学年通心に「知識の大切さ」について書きました。 「主体的な学び」とか「対話的で深い学び」とか「アクティブラーニング」などの耳触りの良い言葉が多用されているせいか,なんとなく知識が隅に追いやられているように感じています。 そこで…

3902 現場での研究は可能か

昨日の研究発表に参加して考えたことです。 普通の学校現場で2年間の研究を重ね,その成果を発表をすることは難しいということ。 研究に多くの時間をとられてしまい,日常授業に支障が出てるのではないかと思います。 研究主題にとらわれすぎて,日常授業に…

3866 2学期制ですから今日が終業式

今日は,前期終業式がありました。 2学期制をとっていますから,この時期になります。 通知表を渡しましたが,自分の評価・評定を見て,「よし,後期はがんばるぞ」という気持ちになった生徒はどれぐらいいるのでしょうか。 この3連休で気持ちを切り替えるこ…

3852 研究発表花盛り

秋は,研究発表や研究大会のシーズンです。 校内の回覧では,毎日のように案内がまわってきます。 その要項の研究テーマを見るとあまり変わらないと感じます。 例えば, 「主体的な学びに向かう生徒の育成」 「自ら学び,仲間と共に深め合う授業づくり」 「…

3812 若手教員を育てる

若手教員をどう育てるか。 「内外教育」(2019年7月26日)の記事からのポイントのみ引用します。 〇管理職や先輩教師は,教授型のリーダーからファシリテーター型のリーダーに変わることが求められている。 〇意思・やる気で奮い立たせるのではなく,こまめ…

3784 反省すれば改善できるのか

夏休み初日でしたが,九州北部地方は台風5号の影響で,大雨となりました。 基本的に部活動は中止となったため,ゆっくりと休養ができました。 3日間の野活の疲れが残っていたため,助かりました。 寝てばかりではもったいないので,月曜日に使う学年部会資料…

3773 学びの礼儀 

先日のY中学校での飛び込み道徳授業と校内研修後,すぐに生徒の意見や感想をまとめて,研究主任へ学校メールで送りました。 記憶が新しいうちに送ったほうがいいと考えたからです。 その反応は・・・・・・・ なしです。 うーん。 もちろん,出張ではありま…

3665 浮き足立つことなく

「内外教育」(時事通信社 3月15日)に国立教育政策研究所名誉所員である菱村幸彦さんの記事が印象に残りました。 その一部を紹介します。 〈引用始まり〉 アクティブラーニングもSociety5.0も「流行」である。これも大切だが,「不易」をおろそかにしてはな…