半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

年間100冊完全読破計画

5809「世界からの押し返し」

千葉県の松尾英明先生から紹介してもらった『「叱らない」が子どもを苦しめる』(薮下遊・高坂康夫 ちくまプリマ―新書)を読みました。 著者の薮下さんは,学校現場で働いているスクールカウンセラーです。 この本の中で,気になった言葉が「世界からの押し…

5736 「完全なる白銀」

岩井圭也さんの「完全なる白銀」(小学館)を読み終わりました。 腰痛の療養でベッドに寝ているだけですから,一気に読み終えることができました。 岩井作品は「夏の陰」や「永遠についての証明」を読んでファンになり,作品をチェックしています。 山岳モノ…

5726「囚われの山」

「囚われの山」(伊藤潤 中公文庫)を読みました。 1902年の八甲田雪中行軍遭難事件を扱った歴史ミステリーです。 朝届いたので,読み始めるとページをめくる手が止まらず,夕方には読破していました。 まさに一気読みでした。 元々,山岳遭難モノが大好きで…

5700 言葉が消えていく

言葉は生きモノですから,生まれた言葉のうち消えてなくなる言葉もあります。 私が大学生の頃,流行していた言葉は,影も形もありません。 例えば, 「ハウスマヌカン」 「テレカ」 「ナウい」 「メタルテープ」 「翔(と)んでる」 などです。 昨日,読んだ…

5699 見えない人はかっこいい

「スーツアクターの矜持」(鈴木美潮 集英社インターナショナル) を読み終わりました。 マスクをかぶると視界がほとんどない状況,動きづらいスーツ,危険な場所での危険なアクション,安いギャラなど,今で言えば「ブラックな仕事」です。 しかし,見てい…

5698 荒川弘さんの言葉

楽しみにしていた荒川弘さんの「百姓貴族」(ウイングコミックス)の新刊である第8巻が出ました。 「鋼の錬金術師」とは趣が違うリアルな酪農エッセイマンガです。 この漫画のいい所は,社会科の授業で使えそうなネタが満載であるということです。 例えば,…

5697 恐怖とは何か

正月3が日は,実家と初詣と散歩に出た程度でした。 あとは,読書の日日でした。 さて,今回紹介する本は,「恐怖の正体」(春日武彦 中公新書)です。 小学生の頃から,ずっと怖さに興味を持っています。 仲間から聞く怪談話 心霊写真 恐怖小説 映画 マンガ…

5696 あなたが誰かを殺した

久しぶりに東野圭吾作品を読みました。 年末に学校の図書室にあった新刊「あなたが誰かを殺した」(講談社)です。 謎解きをするのは,加賀恭一郎です。 ガリレオの湯川学が理系ならば,加賀恭一郎は文系の匂いがします。 別荘地で起こった殺人事件ですが,…

5694 誠実さ

あけましておめでとうございます。 いよいよ令和6年が始まりました。 今年も,この拙いブログをどうぞよろしくお願いします。 さて,大晦日に読了した「ポーツマスの旗」(吉村昭 新潮文庫)の中にある, この一文に心が動きました。 そうした多様な欧米列強…

5688 外交はスリリング

以前はよく読んでいた吉村昭さんの本を再び読んでみたくなりました。 これまでに読んだ吉村作品をあげると 戦争モノでは, 「零式戦闘機」 「戦艦武蔵」 「陸奥爆沈」 時代モノでは, 「大黒屋光太夫」 「冬の鷹」(前野良沢) 「長英逃亡」(高野長英) 「…

5649 沢木耕太郎さんの本

今日は休みです。 昨晩はひどい雨でしたから,今日の天気はどうなるか心配でしたが,今のところ曇りです。 気温もそれほど低くないようです。 ということで,朝から,先週買っておいた沢木耕太郎さんの「旅のつばくろ」(新潮社)を読みました。 沢木さんの…

5607  あの花が咲く丘で

汐見夏衛さんの「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」(スターツ出版)を読みました。 中2の女子が戦時中にタイムスリップして特攻隊員の青年と出会います。 戦争の哀しさや平和の大切さが伝わる内容です。 平和学習のきっかけにもなる1冊です。 読…

5591 「知ってるつもり」

サークルの機関誌「道徳のチカラ」で鈴木健二先生が紹介していた「知ってるつもり」(西林克彦 光文社新書)を読みました。 現在の教育は,知識よりも思考,表現,判断などを優先しています。これに対して,以前から違和感を覚えていました。 知識が豊富だか…

5585 「カミカゼの幽霊」

「カミカゼの幽霊」(小学館 神立尚紀) 太平洋戦争末期に,人間爆弾と呼ばれた特攻兵器「桜花」を発案した「大田正一」の人生を調べあげたノンフィクションです。 死亡したと思われいていた大田が,実は名前を変えて生きていた。 どうして,なぜと思わせる…

5581 「教養としての生成AI」

今話題になっているChatGPTは使ったことはありませんが,使う前に基礎知識を身につけようと思い「教養としての生成AI](清水亮 幻冬舎新書)を読んでみました。 この本を選んだ理由は,ラジオのトーク番組で清水さんが話していたことに興味をもったからです…

5580 「破れ星,燃えた」

倉本聰さんの自伝「破れ星,流れた」の続編である「破れ星,燃えた」(幻冬舎)を読みました。 続編では,富良野で生活するまでの過酷な様子から始まり「前略,おふくろ様」「北の国から」「昨日,悲別で」「やすらぎの郷」など名作ドラマができる様子と石原…

5571 「脚本力」

倉本聰さんの「脚本力」(倉本聰・碓井広義 幻冬舎新書)を読みました。 結論から言えば,道徳授業づくりをする上でとても参考になりました。 なぜならば,道徳授業を創ることは,映画やドラマづくりに似ていると思っているからです。 例えば, 授業の導入で…

5564 すべては土台づくり

野中信行先生の新刊「ここだけはおさえたい!教師1年目の授業づくり」(学陽書房)を読みました。 タイトルにあるように,若手教師向けの本です。 しかし,ベテラン教師もやっていない,知らない(だろう),教師のとしての基礎基本が具体例をあげて紹介され…

5542 「洞窟ばか」

「洞窟ばか」(吉田勝次 扶桑社新書)を読みました。 今まで,数多くの冒険,探検本を読んできましたが,洞窟探検本は初めてでした。 吉田さんは、日本をはじめ世界の洞窟を探検して,未踏の洞窟を発見したりすでに発見されている洞窟の更に奥を踏破したりし…

5525 フォントは思いやり

2019年12月3日のブログ「半径3mの教育論」でフォントについてこんなことを書いていました。 〈引用始まり〉 みなさんは、文書をつくる時にどんなフォントを使っていますか。 基本的は、ウインドウズで設定されている「MS明朝」「MSゴシック」でしょうか。 …

5524 「北極男」

萩田泰永さんの「北極男」(講談社)を読み終わりました。 荻田さんは,極地冒険家です。 2018年に日本人として初となる、南極点への徒歩による無補給・単独踏破に成功した人です。 現在は,北極無補給単独歩行に挑戦し続けています。荻田さんの凄いところは…

5518 冒険と主体性

萩田泰永さんは,北極と南極を単独歩行をしている冒険家です。 今までに数多くの探検,冒険に関する本を読んできましたが,萩田さんのことは知りませんでした。 今朝の読売新聞に萩田さんの記事が掲載されていましたので, さっそく「北極男」(講談社)を購…

5515 「人生はそれでも続く」

道徳授業で使えないかなと思い,「人生はそれでも続く」(読売新聞社会部 新潮社)を購入し,読みました。 当時,大きなニュースとなった人物のその後を取材したノンフィクションです。 あたりまえのことですが,ニュースとなり全国的な知名度になった人物も…

5510 読書波二ノレルカ

私の読書には,大きな波があります。 読みたい気持ちが高まったときは,数冊を購入して一気に読みます。 しかし,気持ちが高まらないときは,活字を見ることも少なくなります。 以前は,「年間100冊読破計画」と銘打って,本を読むことを自分に課していまし…

5497 さようなら目黒孝二さん

大学生になったばかりの頃,友人のKくんから,「面白いから読んでみて」と1冊の本を紹介してもらいました。Kくんとは,小中高と同じ学校で仲良く,特に大学生になった頃から一緒に遊ぶことが増えました。Kくんは,時折,自分が読んだ本を紹介してくれました…

5457 「君のクイズ」

「君のクイズ」(小川哲 朝日新聞出版)を読みました。舞台はクイズ番組です。決勝戦で,問題が読まれる前に正解をだした男,本庄。なぜ,どうして,いかさま?クイズを舞台にした新しいミステリーです。クイズは単なる知識量の勝負ではないことが分かります…

5451 「爆弾」

「爆弾」(呉勝浩 講談社)を読みました。爆弾犯と名乗る男と刑事との心理戦が中心です。その描写もうまくて,一気に引き込まれました。爆弾犯の心理,刑事の心理,仲間の警察官の心理などさまざまな心理描写で自分の感情も揺さぶられました。誰の心の中にも…

5448 「方舟」

小学生までは,まったく読書をしない子どもでしたが中学生になって読書にはまり,小遣いやお年玉のほとんどを本に使っていました。そのきっかけとなったのは,横溝正史の「八つ墓村」(角川文庫)でした。それから,一気に横溝ファンになり,「犬神家の一族…

5445 笑いを追求する狂気

「笑いの神 M-1、その純情と狂気」(中村計 文藝春秋)を読みました。教師にとって話術は,身に着けておく大切な技術の1つです。ですから,話術の腕を上げるために,落語,漫才,コント,フリートークなどをよく見ています。もちろん,M-1も第1回からすべて…

5442 「ナナメの夕暮れ」

お笑いタレントオードリーの若林正恭さんの「ナナメの夕暮れ」(文春文庫)を読みました。自分とは何か,お笑いとは何かなど,スルーできることを深く考える人だと思いました。同時に,細やかな心を持つ人だと思いました。歳を重ねるにつれて「だいたいわか…