半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

5744 効率と幸福

読売新聞の「余白のチカラ」という特集を毎回,興味深く読んでいます。

2月11日の第1回では,岩手県で古民家民宿「苫屋」を経営する坂本久美子さんが紹介されていました。

この「苫屋」の特徴は,宿泊予約は手紙かはがきで行うしかないということです。

電話もインターネットもつながっていないのです。

予約願いを手紙に書いた客は,その返事を待つことになります。

予約がとれたかどうかは,坂本さんの手紙が届くまでわかりません。

ちょっとしたワクワク感があり,「待つ」という行為を楽しむことになります。

この「待つ」ということができないのが,現在の日本人です。

坂本さんは,「余白とは何ですか」という問いにこのように答えています。

 

〇宿泊予約の手紙の文面から,「どんな人が来るのかしら」と想像を巡らせる時間。顔や声がわからないから,会うまでの時間が楽しくなる。電話やインターネットはやりとりが速すぎて,その楽しみが失われる。効率と幸福は必ずしも比例しない。

 

働き方改革」で学校現場は,効率を優先させる風潮があります。

しかし,効率を優先させれば,教師が幸福になるとは限りません。

生徒のために時間をかけて何かをやっていることが,実は,教師にとっては幸福なことのですから。

教育と効率,この2つは合い入れない部分が大きいように感じます。