半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2284 読破49冊目「ヒトラー演説」

●「ヒトラー演説」(高田博行 中公新書★★★★
私の研究テーマの1つに話術があります。
どういう話し方をすれば,聞きたくなるのか。
どのような言葉を使えば,聞きたくなるのか。
どのような文法を使えば,聞きたくなるのか。
そのために,いろいろな講演会では話者の特徴や印象的な言い回しや心に刺さった言葉をなどいろいろとメモしています。
テレビでは,落語や漫才をよく聞きます。
そういった意味でも,この本はためになりました。
ヒトラーの25年間の演説で出てきた50万語の言葉をデータベース化するという途方もない研究をまとめたもとのです。
これだけでも4つです。
確かにヒトラーは演説の天才といえるかもしれませんが,それだけでは歴史は変わりません。
ヒトラーの演説に熱狂した聴衆がいたのです。
ヒトラーのような救世主を待ち望んだ人々がいたからこそ,ドイツは変わったのだと思います。
また,ヒトラーは場の雰囲気をうまく読み取ったり,いち早くマイクやラジオ放送を積極的に使ったりして,聴衆をひきつけていったのです。
ヒトラーが良く使っていた文法は,
①AではなくBである。
②もし,AしなければBになる。
だそうです。
断定的な発言によって,聴衆は柔軟な思考ができにくい状態になっていたのかもしれません。
この本は,現代の我々に,いろいろな発言や情報を場の雰囲気に飲まれて信じることなく,いったん冷静に考えることの大切さを訴えているのだと思います。

ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)

ヒトラー演説 - 熱狂の真実 (中公新書)