半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2190 雨が降らないと虹は出ない

今週,発行した「学年通心」第35号より

■「雨が降らないと虹は出ない」〜2組の道徳授業のようす〜
 先週2年2組で道徳授業を行いました。資料として,片岡鶴太郎さんの人生を取りあげました。鶴太郎さんは,20代でお笑い芸人,30代で俳優とプロボクサー,40代で画家といろいろなことにチャレンジして,成功してきたマルチタレントです。さて,このような人生を送ってきた鶴太郎さんには,自分に自信をもった出来事がありました。それは,高校受験を控えた中学校3年生の夏休みのことでした。受験勉強を始めたところ,中3の問題集を見ても全くわからりません。仕方なく中2の問題集をやってみたそうです。しかし,それも分からない。さかのぼって中1の問題集を解いてみたところ,やっぱりわからない。結局,小学校6年生の参考書とドリルを買ってやり始めたそうです。すると,小6の問題を懸命に解いていくうちにやり方がわかったそうです。すると,中1の問題がわかるようになりました。そして夏休みの1か月をかけて中2,中3の問題も解けるようになったそうです。夕方4時から明け方4時までの12時間徹夜でドリルを解いたこともあるそうです。このことについて,鶴太郎さんは「その時のことは,今の自分の核になっていると思います。オレはやればできるんだ。馬鹿じゃないんだ,と。このことに初めて自分の力で気づいたんです。中3の夏休みの大きな大きな経験でした。」と言っています。
 さて,授業では,鶴太郎さんの講演会の様子を動画で見せました。この中で鶴太郎さんは「雨が降らないと虹は出ない」というハワイのことわざを紹介されました。そこで,「雨が降らないと虹は出ない」とはどんな意味だと思いますかとたずねてみました。すると次のような答えが出ました。
・勉強しなければ,成果はでない。
・悲しいことも乗り越えれば,笑顔に変わる。
・失敗しないと成功はしない。
・何かつらいことをしないと,良いこと結果はでない。
・努力と悔しさがなければ,結果はでない。
・努力をしないと夢は実現できない。
・嫌なことでも,やってのけないと結果はでない。
・やることをやらなければ結果はでない。
・部活だったら,練習をがんばらなければ,勝つことはできない。
・苦しさやつらさを味わい,乗り越えなければ,嬉しさや楽しさは味わえない。
 道徳授業の良さは,1つの問いでもいろいろな意見が出て,その意見をクラスの仲間と共有できることです。教科の授業であまり目立たない生徒でも,道徳の時間には,仲間が大きくうなづくような意見を発表することもあります。また,仲間の意見を聞くことで,自分の考えを深めることもできます。そうやって,より良い生き方について学んでいくのだと思います。今回の道徳授業でも,2組の生徒はみんなしっかりと考え,素晴らしい意見を書き,発表することができました。