半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3667 弱い子も強い子も

国立教育政策研究所長の浅田和伸さんが,「内外教育」(2021年7月2日)こんな記事を書いてました。
「定年間際になって,自分はこの職業を通じて何を一番したかったのだろうと考える。立派な理想とかではない。子供の苦しみ,悲しみ。その子自身が受けるいわれのない理不尽な不幸。それを少しでも減らしたい。無くしたい。その一点に尽きるかな,と今は思う。」
国立教育政策研究所と言えば,学力向上やアクティブラーニング,ICT教育などを進めていく仕事をしている役所だと思っています。その所長さんが,こんなことを書いていたので驚きました。
現在の教育施策は,変化の激しいこれからの時代を生きるために,「たくましいチカラや強いチカラ」をもつ生徒を育てようとしているように思えます。
確かにそんな子どもも,日本の未来には大切な存在だと思います。しかし,そうではない,人の悲しみがわかる子,草花を好きな優しい子,本が大好きな子,友達を助ける子,優しい涙を流す子,思いやりがある子,運動が苦手な子,勉強が苦手な子なども大切なのです。
つまり,教育は,すべての子どもが幸福になるためにあるのです。
浅田さんは,最後にこう書いています。
「自分で戦っていける強い力。人の弱さを分かり,思いやれる力。両方とも忘れず大事にしたい。」
その通りです。そのために教師がいるのですから。
同じように定年が近づいているからでしょうか,浅田さんの言葉が心に残りました。

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