半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3654 現代脚本家考③

◆「現代脚本家考その3」◆

そして3人目は,僕が一番好きな脚本家である山田太一である。彼の作品は従来のホードラマの革命(ちょっと言い過ぎであるが)と言われる。「岸辺のアルバム」「沿線地図」「それぞれの秋」またもう一つの傾向として時代時代の社会問題をガードマンの目を通して鮮烈に描いた「男たちの旅路」のシリーズがある。そのシリーズの中で障害者をテーマにした「車輪の一歩」の中のシナリオの一部をあげると,警備会社の指令補である吉岡と足が不自由で車椅子を使っている青年,川島との会話

吉岡「君たちは普通の人が守っているルールは,自分たちも守るというかもしれない。しかし,私はそうじゃないと思う。君たちが街へ出て電車に乗ったり階段をあがったり映画館へ入ったり,そんなことを自由にできないルールはおかしいんだ。うしろめたい気持ちになったりするのはおかしい。私はむしろ堂々と胸をはって迷惑をかける決心をすべきだと思った。」

このように山田太一は普段われわれが日常気がついていないところをズバッと切って,それを改めて違う角度から見ているように思える。また,従来のテレビドラマは人間の情緒でのつながっているドラマが多かった。それゆえ受け入れられやすかった。

(次回へ続く)