半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

5399 不健康な教師

新聞の連載がきっかけとなって,養老孟司さんの「バカの壁」(新潮新書 2003年)を読みました。この中で印象に残った部分をメモしました。例えば,
「仕事が専門化していくということは,入力が限定化されていくということ。限定化するということはコンピュータならば1つのプログラムだけを繰り返しているようなものです。健康な状態というのは,プログラムの編成替えをして常に様々な入出力をしていることなのかもしれません。」です。
よく,学校の先生は世間知らずと言われます。長い間,1つの世界にどっぷりとつかってしまうと違う世界の受け入れづらくなってしまうのかもしれません。
養老先生に言わせれば,教師は「不健康」な状態なのです。
 私は教師になる前に違う仕事を2年ほどしていました。36年間の教師人生において,この2年間の経験がとても役に立ったと思います。生徒や保護者を違う視点でとらえることができたからです。
教師も「異から学ぶ」という視点を忘れてはいけないのだと思います。
養老先生は,こんなことも書いています。
「私自身,東京大学に勤務している間とその後では,辞める前が前世だったじゃないか,というくらいに見える世界が変わった。(中略)辞めてみると,いかに自分が制限されていたかがよく分わかった。この制限は外れてみないとわからない。それこそが無意識というものです。」