半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

4627 世界はきっと不公平なんだ

今日も雨。時折,激しく降りましたが,今は雨も上がり晴れ間も見えています。午前中は,書斎で読書をしました。椎名誠の「毎朝ちがう風景があった」(新日本出版社)です。いわゆる写真エッセイというジャンルです。世界や日本のさまざまな場所を旅してきたシーナが撮影した写真にピッタリのエッセイが添えられています。写真もいいですが,エッセイも心が和らぐものばかりです。この写真は,アマゾンの河口から6000キロ上流にあるテフェという町で撮影されたものです。アコーディオンを弾くこの子の表情がいいですね。シーナはこう書いています。「外からアコーディオンの曲が流れ聞こえてきた。なんだかものがなしい音色だ。気になったので外に出てみると,宿の裏通りの建物に寄りかかってローティーンの女の子がつまらなそうにアコーディオンを弾いていたのだった。傍らにカンカラがあってそこに安いコインがいくつか入っているのが見える。(中略)この女の子は目の前を通る誰かに媚びを売るわけでもなく,ずっとこういう表情をしていくつかのメロディーを奏でていた。綺麗な子だった。どこでどういう暮らしをしているのかわからないし,自発的なのか親からこうするように,と言われているかもわからなかったが,そのひたむきな姿にひきつけられた。」
そして,最後にこう書いています。
「世界は不公平だ,と思うときがけっこうある。」
何だか心がキュッと締め付けられました。

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