〇「植村直己冒険の軌跡」(中出水勲 ヤマケイ文庫)★★★
「青春を山に賭けて」を読んで以来ずっと植村さんの本を読んできました。
もしかしたら,若い人は植村直己を女性と思う人がいるかもしれません。
世界の5大陸最高峰を登頂し,グリーンランドや北極圏を犬ぞりで走破した冒険家です。
夢だった南極大陸の犬ぞり横断を実現する前,1984年北米最高峰のマッキンリー冬季登頂を果たしたのち,消息を絶ちました。
彼に惹かれる理由は,超人的な冒険家ではなく,とても人間臭い冒険家だからです。
例えば,北極圏走破の途中で乱氷帯に行く手を阻まれて身動き取れなくなった時に,奥さんに助けを求めて叫び続けたというエピソードがあります。
この本に収録されている開高健さんとの対談の中で,開高さんが言っていた「胆大小心」(肝っ玉は大きく用心深い)という言葉がぴったりの人物だと思います。
これかも植村直己さんを追い続けます。