半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

5209 学ぶ意欲を高める授業づくり

国学力学習状況調査の結果を受けて,夏休み中に校内研修がありました。その中で,授業改善の方向性として,弱点部分を補強する,「めあて」と「まとめ」を提示する,繰り返し取り組ませるなどを共通理解をしました。
しかし,これで学力が向上するとは思っていません。
私が意識していることは,生徒の学びのモチベーションをどうやって高めるかということです。
これに関して,教育心理学者の市川伸一先生の「学ぶ意欲の心理学」(PHP新書)を再読しました。
 この本の中で,市川先生は,学習動機の二要因モデルというものを示しています。
二要因とは,
A学習の重要性(大=重視,小=軽視)
B学習の功利性(大=重視,小=軽視)
です。
Aを縦軸にBを横軸として分類した場合,以下の6つになるそうです。
(本には,分かりやすいグラフが掲載されていますが,ここでは掲載しません)
①実用志向(Aは大, Bは大)
②訓練志向(Aは大, Bは中)
③充実志向(Aは大, Bは小)
④報酬志向(Aは小, Bは大)
⑤自尊志向(Aを小, Bは中)
⑥関係志向(Aは小, Bは小)
この6つを私なりに解釈してみます。
①実用志向
勉強は将来役に立つことを折に触れて語る。
→そうか,今やっている勉強は無駄ではないんだ。きついけど勉強を頑張ろう。
②訓練志向
ドリルや簡単な問題を繰り返しやらせる。
→何回もやって基本的な知識や技能が身についたぞ,次も勉強を頑張ろう。
③充実志向
難しい問題や課題にではなく,全員ができるものに取り組ませる。全員参加の授業づくりをする。
→問題が解けた,できた,勉強は楽しいなあ。次も頑張ろう。
④報酬志向
学習の結果に応じて報酬を与える。できたらシールを与える。自学ノートに励ましメッセージを書く。
→授業中,先生が自分のがんばりをしっかりとほめてくれた,励ましメッセージをもらった,次も頑張ってみよう。
⑤自尊志向
仲間と競争させる,やり遂げた達成感を味わわせる。授業中に一人一人をしっかりとほめる。
→やった自分もできるんだ,ここまでやれたあ,うれしいなあ。さあ,次も頑張ろう。
⑥関係志向
仲間と一緒に取り組ませる。学級の空気が良好である。生徒と教師の良好な関係をつくる。
→あの先生が好き,あの先生はほめてくれる,あの先生は信頼できるから,頑張ろう。
自分の授業を振り返ってみると,6つ全てがあてはまるわけではありせんが,学習動機を意識して行っています。
残り7カ月,生徒の学習意欲を高める地道に取り組みを続けていきます。
なぜならば,勉強は全国学力調査のポイントやテストの点を上げるためだけにやっている訳ではないからです。
大人になっても勉強は続くのです。学ぶことが楽しい,中学校の社会科で勉強したことは,こんなところで役に立つんだと実感させたいのです。