半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3549 読破59冊目「人物に学ぶ道徳授業」

●「人物に学ぶ道徳授業」(野口芳宏 モラロジー研究所★★★
野口先生が提案されている偉人道徳の実践編です。
①軍人
②武将
③皇室

この3つを教えることは戦争がどうしても絡んでくるので,消えたのです。
しかし,日本人として知っておくべき教養という意味でも,実に興味深い本でした。
日本の歴史を教えるためには,天皇について教えることは避けられません。
平和を教えるためには,戦争について教えることは避けられません。
権利を教えるためには,義務を教えることは避けられません。
何事もバランスが大切なのです。
教師は,このバランス感覚を身に付けておく必要があると考えます。
特に昭和天皇マッカーサー元帥との会見の話は,感動しました。

〈引用はじまり〉
天皇陛下は,「この度の戦争の責任はすべて私にある。文武百官は私の任命するところだから彼らには責任はない。私の一身はどうなろうと構わない。私はあなたにお委せする」と述べられた。この言葉に元帥は驚愕する。『マッカーサー回想記』の中で元帥は「私は大きい感動にゆすぶられた。死を伴うほどの責任,それも私の知り尽くしている諸事実に照らして,明らかに天皇に帰すべきではない責任を引き受けようとするこのこの勇気に満ちた態度に、私の骨の髄までもゆり動かされた。
続けて天皇陛下は,「この上はどうか国民が生活に困らぬよう連合国の援助をお願いしたい。このままでは罪のない国民に多数の餓死者が出る恐れがある。ここに皇室財産の有価証券類をまとめて持参したので,その費用の一部に充てて戴ければ幸せである」と言われて大きな風呂敷包みを差し出された。元帥はゆっくり立ち上がり,陛下の手を握り,「私は初めて神の如き帝王を見た」と述べたと記録にある。

〈引用終わり〉


もし,昭和天皇があの話をしなければ日本は悲惨なことになっていたかもしれません。

内容は,以下の通りです。


一、道徳教育の根本的な考え方

二、『新編小学修身用書』の著者 ―― 廣池千九郎

三、自国への誇りと愛と忠誠 ―― 「軍人」をどう伝えるか

四、バルチック艦隊を撃滅した東郷平八郎

五、難攻不落の要塞を破った乃木希典

六、明治維新のリーダー ―― 西郷隆盛

七、救国の大御心 ―― 昭和天皇

八、人物教材の価値と活用 ―― 発問のない授業・「語り」

興味を持った方は,こちらです。
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