●「東大理系が考える 道徳のメカニズム」(鄭雄一 ベスト新書)★★
例えば,道にゴミが落ちていて,それに気づいたとします。
おそらく,瞬間的にこんなことを考えるに違いありません。
①「道にゴミが落ちていると,きたないなあ」
②「誰が捨てたんだろう。迷惑だなあ」
③「このゴミを拾ったらきれいになるなあ」
④「このゴミを拾おうかな」
⑤「人のゴミをどうして拾わなくちゃいけないのかなあ」
⑥「拾うのもめんどくさいなあ」
⑦「周りの人に見られるから恥ずかしいなあ」
⑧「ゴミを拾うとなんかいいことをした気分になるなあ」
さあ,この場面では,学習指導要領に記載されている,どの道徳的価値と関わりがあるのでしょうか。
おそらく,
4 主として集団や社会とのかかわりに関すること。
(2) 公徳心及び社会連帯の自覚を高め,よりよい社会の実現に努める。
だと思います。
この道徳的価値が大切であると認識している人は,ゴミを拾う可能性が高くなると思います。
では,この道徳的価値をどうやって認識するのでしょうか。
親や家族の躾でしょうか。
道徳授業でしょうか。
それとも誰からも教えてもらわずに生まれた時から認識していることなのでしょうか。
学校生活では,廊下や教室にゴミが落ちていても拾わない生徒や教師がいます。
そういう人は,親の躾が身についていないのでしょうか。
道徳授業を受けてこなかったのでしょうか。
このように深く考えていくと,道徳とは何かとても難しくなります。
この本の著者は「道徳の本音を,仲間らしくしなさいという掟」としています。
そして,この掟は次の2つの要素から成り立つそうです。
1つは,仲間に危害を加えない。(仲間の範囲が変わっても内容は不変)
2つは,仲間と同じように考え,行動しなさい。(仲間の範囲とともに内容も変化する)
何となく分かりはするのですが,なるほどそうなのかと大きく頷くまではありません。
学校で,ゴミを拾うことの大切さを扱った心に響く資料を使った道徳授業をすることで,ゴミを拾う生徒が増えることを信じています。
そんなにうまくいくわけがないのですが,道徳授業のチカラを信じて,実践しているのです。
- 作者: 鄭雄一
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2013/04/09
- メディア: 新書
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