半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

5664 山田太一さん逝く

脚本家の山田太一さんが亡くなりました。
山田さんの作品では,NHKの「男たちの旅路」が一番好きです。
鶴田浩二さんが,特攻隊上がりの警備員を演じた素晴らしいドラマでした。
また,TBSの「深夜へようこそ」も千葉真一さんがいい味を出していて,いいドラマでした。
大学生の頃,脚本家になりたくて,山田さんの本を読み漁っていました。
TBSの「ふぞろいの林檎たち」(1983年5月~7月)の最終回のラストシーンです。
〇ある会社の会議室(昼)
実(柳沢慎吾)「(良雄と健一の傍へ,するすると廊下の方から来て)おい,頭にくるぞ。東大なんかの控室はよ,ソファだとよ。俺たちのはなんだ,これ(と椅子を叩く)
健一(時任三郎)「つまんねぇ愚痴いうな(と叩く)」
実「イッテェなあ」
健一「胸はっていりゃいいんだ」
実「恰好つけちゃって」
健一「(がっと実をつかんで,顔を近づけ)胸はってろっていっているんだ」
実「分かったよ」
良雄(中井貴一)「(正面向いて,胸はっている)
健一「(胸をはなし)胸をはってるんだ。胸をはってろ(と正面を見て胸をはる)」
その横を立って行く学生。しょんぼりうつむいている学生。
健一「(胸をはったまま)問題は生き方よ」
良雄「(胸をはっている)」
実「わかってるさ(ふくれた顔で,胸をはったところで,ストップモーション)」
 
早坂暁さんに続き,昭和の素晴らしい脚本家がまた逝ってしましました。
私の中の昭和が一つずつ消えていきます。
ご冥福をお祈り申し上げます。