半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3979 読破7冊目「AIに負けない子どもを育てる」

〇「AIに負けない子どもを育てる」(新井紀子 東洋経済★★★★★

新井さんは,読解力をより正確に把握するためにRST(リーディングスキルテスト)という独自のテストを開発して実施しました。その結果を元にして,書かれているの説得力があります。そして,読解力を高めるための授業の実際が紹介されていてわかりやすかったです。
また,現在の学校教育にも疑問を投げかけています。
例えば,アクティブラーニングです。
「準備が不十分だったり,教員の背景知識が不十分で生徒の学ぶ意欲に負けてしまったりすると,アクティブラーニングはすぐに破綻します。みんなで作業をして,なんとなく話あったけど,何が結論だったのかわからないーそんな授業に陥ります。他の生徒の意見に迎合していれば授業をやり過ごせると覚える生徒も出てきます。」と書かれています。
例えば,電子黒板とワークシートです。
「一人も置き去りにしないために,書く速度が遅い生徒に合わせたプリントやワークシート類,情報化を推進するための電子黒板が,ノートをとれないまま卒業する小学生を大量に生んでいたのです。文章として読まなくても,キーワード検索でプリントを埋められてしまいます。そして,そのキーワード部分を覚えれば,テストでそれなりの点をとれてしまうではありませんか。」
最後には,「意味がわかって読める」子供を育てるために,何をどうすればいいか,幼児期から小学校高学年まで詳しく紹介されていて,これも参考になりました。

 

AIに負けない子どもを育てる

AIに負けない子どもを育てる