ノボさんとは,正岡子規の本名からとったあだ名です。
子規の本名は,正岡常規(つねのり)です。
この本は,子規と夏目漱石の友情を中心に描いてあります。
そのためでしょうか,子規の俳句や短歌は必要最小限で掲載されています。
ロンドン留学中の漱石は,子規の臨終を見届けることはできませんでした。
訃報の際,漱石がよんだ句が紹介されていました。
〈引用はじまり〉
「きりぎりすの昔を忍び帰るべし」
きりぎりす・・・の句はおそらく松山で二人で暮らしていた時に,どこかの草原を子規と散策したのだろう。その子規の姿とべーすぼーるに夢中だったと聞いた若き日の子規の姿が草を飛ぶ夏の虫のように思えたのではなかろうか。
子規よ,白球を追った草原へ帰りたまえ,という友への哀切が伝わってくる。
〈引用終わり〉
400ページをこえる大作でしたが,とても読みやすい文章でした。
最後は,やはり泣けます。