半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

4156 読破38冊目「終わらざる夏(上巻)」

〇「終わらざる夏(上巻)」(集英社★★★★★ 
浅田次郎さんの作品を読むと,どうしてこんなにも心が震えるのでしょうか。
今までに「鉄道員(ぽっぽや)」「メトロに乗って」「壬生義士伝」「天国までの100マイル」「椿山課長の7日間」などを読んできました。
今回は「終わらざる夏(上)」(集英社)を読破しました。今まで描かれなかった大東亜戦争中のソ連との国境を接する北千島の占守(シュムシュ)島を舞台にした戦争文学です。
8月15日の敗戦の日までには下巻を読破したいと思っています。
こんな場面がありました。
〈引用はじまり〉
疎開先で子供たちを教育する立場である浅井訓導の独白です。
「浅井は南面した本堂の縁側に座って,あの夜と同じ星座を仰いだ。目を凝らせば,頭上には滔々と天の河が流れていた。そのほとりに輝く一等星は,琴座のベガ,鷲座のアルタイル,白鳥座のデネブ,三つの星を結ぶ,夏の大三角形。まだ敗けたわけではない。教科書がなくたって,鉛筆も帳面も定木も足らなくたって,あすの晩は星の伝説を子供らに教えてやろう。戦争のひもじさを忘れてしまうくらい美しい,星々の物語を。」
(中略)
そして,「星めぐりの歌」を口ずさみました。
銀河の詩人はみずからやみずからの子弟のためではなく,未来の飢えた子供らのために,すばらしい物語と詩を書いてくれた。
〈引用おわり〉
こういった文学作品に出合い,心が震える瞬間を積み重ねていくとで,感性が磨かれていくのだと思います。
今から下巻を読みます。

 

終わらざる夏 (上)(下)巻セット

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