半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3452 読破31冊目「初任者の1ヶ月」

●「初任者の1ヶ月」(野中信行)★★★★
これは,非売品です。
野中先生からいただいた貴重な小冊子で,先生がボランティアである小学校で初任者をサポートした報告書です。
これを読むと,初任者をいきなり学級担任にすることがいかに無謀なことなのかが分かります。
つい先日まで,大学生だった人間が学級をまとめ普通の授業ができるようになるのでしょうか。
学びのストックがほとんどない状況で,秒単位で判断を迫られるのです。
野中先生のような指導者が,いつもそばにいて指導してくれるのであれば,できないことはないでしょう。
しかし,ほとんどの現場は,忙しい教員が初任者を育てようとしているのです。
ゆっくりと丁寧に指導する余裕がないのです。
また,本市では小中規模校が増えてきています。
そのため,1教科1人しか配置されない場合も多くなっています。(事務や養護教諭なども)
また,初任者指導が拠点校方式になっていますので,週に1回,しかも他の学校の教師が指導にやってきます。
このようなやり方で,初任者を普通の教師に育てることができるのでしょうか。

結果的には,多くの初任者が辞めていっているのです。

初任者研修の方法を抜本的に変えることが,喫緊の課題であると思います。

この冊子の対象は,初任者だけではありません。
私も多くの学びを得ることができました。
授業の基本,学級経営の基本などが丁寧に説明されています。
多くの中堅,ベテラン教師も是非,読んだ方がいいと思います。