半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3127 「友だち」と「仲間」

先日,姪の幼稚園の運動会を見に行きました。
雨天のため,体育館で行われていましたが,どの園児も一生懸命に取り組んでいました。
そんな運動会で,ちょっぴり違和感を覚えたことを書きます。
それは,主任と思われる先生が,放送で随時,演技の紹介や応援をしていました。
その中で,園児のことを常に「おともだち」と言っていたことです。
例えば,「すみれ組のおともだちは,入場門に集まりましょう」とか
「たんぽぽ組のおともだち,よくがんばりましたね」とかです。
どうして,園児のことを「おともだち」というのでしょうか。
確かに「園児」という言葉は,難しいかもしれません。あるいは,堅苦しい感じがするのかもしれません。


では,「みなさん」とか「なかま」ではダメなのでしょうか。




現在の子供は「友だち病」にかかっていると思います。
この病気は,「友だち」は絶対に大切,「友達」をたくさんつくることが大切,「みんな仲良くすること」が大切にしなければいけないと思い込むような症状が出ます。



幼い頃から,親や先生から「友達」を大切にしなさいと教えられますが,果たしてそうでしょうか。

はたして,クラス全員と友だちになることはできるでしょうか。
現実的に無理でしょう。
どうしても合わない人もいます。どうしても合わせられない人もいます。
そんな人とは,友だちづきあいはできません。
できることは,クラスの一員としてうまくつきあっていくことです。
つまり,「仲間」としてつきあうのです。

しかし,小さい頃から,「友だち」病にかかっているので,どんな人とも仲良くしなければいけないと思い込んでいる子供がいると思います。
それが,大きな悩みになる場合もあるのです。心の負担になる場合もあるのです。

「友だち」はいたほうがいいに決まっています。
しかし,クラス全員が「友だち」とか「みんな友だち」とかを子供に教えることは,正しいこととは思いません。

「友だち」という言葉を疑わずに使うことを止めて,「仲間」という言葉としっかりと使い分けをして教えることが大切だと思います。

「友だち」と「仲間」の違いを知ることで,人との付き合いが負担にならなくてもすむと思うのです。
あの人とは「仲間」として付き合えばいいんだ。という意識を持たせるのです。

幼稚園でも「すみれ組のなかま,入場門に集まりましょう」という放送を流すようにしてはどうでしょうか。