半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2442 読破84冊目「学力の経済学」

●「学力の経済学」(中室牧子 ディスカヴァー21★★★
先週の大阪往復で3冊を読破しました。
その1冊がこの本です。
教育の効果について,絶対的なデータはないように思います。
そのため,自分の経験や印象で語ることが多いため個々の主張が違ってくるのです。
また,学力が高い理由を示すデータを示すことが難しいのは,様々な要因があるからです。
例えば,教師の授業力であり親の経済状態であり教育社会資本の充実度であったりするのです。
このことを中室さんは,次のように書いています。
〈引用始まり〉
文部科学省は,「全国学力・学習状況調査」という学力テストの結果を用いて,子どもの学力と家庭環境にどのような関係がみられるかを分析しています。その分析によると「親の年収や学歴が低くても学力が高い児童の特徴は,家庭で読書をしていること」だとされています。この結果を受けて,多くのメディアは「子どもに読書をさせることが重要だ」と報道しています。はたしてこの報道は正しいのでしょうか。(中略)
つまり,読書をしているから子どもの学力が高い(因果関係)のではなく,学力の高い子どもが読書をしているにすぎない(相関関係)可能性があるのです。
〈引用終わり〉

この本が面白い理由は,教育について科学的な根拠を求めようとするところです。
つまり,様々な実験を通して出たデータに基づいて書かれているのです。
学年通心のネタとして使いたいと思います。

「学力」の経済学

「学力」の経済学