半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2513 読破53冊目「アホウドリを追った日本人」

●「アホウドリを追った日本人」(平岡昭利 岩波詩新書)★★★★
アホウドリという名前は,簡単に捕獲できる鳥ということでつけられたそうです。
明治から大正にかけて,羽毛採取やはく製づくりのために何百万羽というアホウドリが撲殺されました。
この羽毛やはく製の取引価格が非常に高いため,一獲千金を狙って多くの日本人が南洋に浮かぶ小さな島々に進出したのです。
その結果,図らずも日本の領土が確定していったのです。
まさに,アホウドリが日本の歴史を変えたのです。
冒険的な内容も紹介されており,冒険本を大好きな私にとって,とても興味深く読破しました。
著者の平岡さんは,構想から執筆まで40年もかかったと書かれています。
資料もそれほど多くないこのテーマに挑んだ平岡さんに敬意を表します。
この分野は歴史地理学というものだそうです。

中世ドイツ史で有名な阿部謹也先生は,中世ドイツの庶民の生活を調べるために,まずは当時の地図を用意したそうです。
その地図を見ながら,山の形,川の流れなどをイメージすることで,庶民の生活がより鮮明に浮かび上がってくると話されていました。

これも歴史地理学と言ってもいいのかなと思います。

何だか推理小説みたいで面白いです。