半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2375 読破74冊目「吉田調書を読み解く」

●「吉田調書を読み解く〜朝日誤報事件と現場の真実〜」(門田隆将 PHP)★★★
福島原発事故から自分の命を懸けて日本を救った吉田昌郎所長やその部下たち,自衛隊員,消防署員,警察官たちがいました。
そんな彼らを朝日新聞は「所員の9割が吉田所長の命令に違反して撤退していた」と報じました。
果たして真実は何なのかということを知りたくてこの本を読みました。
前作の「死の淵を見た男」でも感じたことですが,吉田所長をはじめとする多くの所員たちの勇敢な行動に感動しました。
例えば,この部分です。

〈引用はじまり〉
「私は,事故当時,吉田氏のもとで闘った部下たちに,もし,福島第一原発の所長が吉田昌郎さんでなかったら,あの事故はどうなっていたと思いますか」と問うた。すると,皆,同じような言葉を口にした。
吉田さんでなければ無理だった。
吉田所長となら一緒に死んでもいいと思った。
常に部下を信頼していた吉田氏の姿勢は,事故の行動にも表れていた。命がけで事態の収束に向かい,無事に帰ってきた部下たち一人ひとりと吉田氏は握手を交わし,よく帰ってきてくれたと苦闘をねぎらった。」
〈引用終わり〉

このような吉田所長と厚い信頼関係で結ばれた部下たちが「命令違反して撤退する」のでしょうか。
この本を読み終えると,前作と同じように目頭が熱くなりました。
是非,多くの人々に読んでもらいたい1冊です。

「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実

「吉田調書」を読み解く 朝日誤報事件と現場の真実