半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2137 第1回在校生卒業式練習

今日の午前中は,最初の在校生卒業式練習を行いました。
教務主任が不在だったので,私が1・2年生を指導することになりました。
せっかくの機会ですから,卒業式練習に対する心構えをしっかりとつくらせたいと思い,ミニ道徳授業を行うことにしました。
式の流れや礼法指導に入る前に,約10分間を使い道徳授業を行いました。
資料は,気仙沼市立階上中学校の卒業式で読まれた答辞です。
読んだのは,卒業生代表の梶原裕太くんです。
この動画を見た時に,涙があふれてきました。
同時に,以前読んだ本に,卒業式を自衛隊護衛艦上で行った小学校があるということを知り感激しました。
このことから,そこまでして卒業式を行う理由は何だろうかと考えました。
また,これを生徒たちに考えてほしいと思ったのです。
その答辞を以下に引用します。

〈引用始まり〉
本日は、未曾有の大震災の傷も癒えない最中、
わたくしたちの為に、卒業式を挙行していただきありがとうございます。

ちょうど、十日前の三月十二日、春を思わせる暖かな日でした。
わたくしたちは、そのキラキラ光る日差しの中を、希望に胸を膨らませ、
通いなれたこの学舎を、五十七名揃って巣立つ筈でした。

前日の十一日。
一足早く渡された、思い出のたくさん詰まったアルバムを開き、
十数時間後の卒業式に、思いを馳せた友もいたことでしょう。

東日本大震災」と名づけられる、天変地異が起こるとも知らずに・・・

階上中学校といえば「防災教育」といわれ、
内外から高く評価され、十分な訓練もしていたわたくしたちでした。

しかし、自然の猛威の前には、人間の力はあまりにも無力で、
わたくしたちから大切なものを、容赦なく奪っていきました。
天が与えた試練というには、むごすぎるものでした。
辛くて、悔しくてたまりません。

時計の針は、十四時四十六分を指したままです。
でも、時は確実に流れています。
生かされた者として、顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、
強く、正しく、たくましく生きていかなければなりません。

命の重さを知るには、大きすぎる代償でした。
しかし、苦境にあっても、天を恨まず、運命に耐え、
助け合って生きていく事が、これからの、わたくしたちの使命です。

わたくしたちは今、
それぞれの新しい人生の一歩を踏み出します。
どこにいても、何をしていようとも、
この地で、仲間と共有した時を忘れず、宝物として生きていきます。

後輩の皆さん、
階上中学校で過ごす「あたりまえ」に思える日々や友達が、
いかに貴重なものかを考え、いとおしんで過ごして下さい。

先生方、
親身の御指導、ありがとうございました。
先生方が、いかにわたくしたちを思って下さっていたか、
今になってよく分かります。

地域の皆さん、
これまで様々な御支援をいただき、ありがとうございました。
これからもよろしくお願い致します。

お父さん、お母さん、家族の皆さん、
これからわたくしたちが歩んでいく姿を見守っていて下さい。
必ず、よき社会人になります。

わたくしは、この階上中学校の生徒でいられたことを誇りに思います。

最後に、本当に、本当に、ありがとうございました。

平成二十三年三月二十二日

第六十四回卒業生代表  梶原 裕太
〈引用終わり〉

動画はこちらです。


生徒たとは,この後の練習もよくがんばり,姿勢や歌声もおおむねよかったです。
明日の練習もがんばってほしいと思います。