●「戦争論」(小林よしのり 幻冬舎)★★★
ゴーマニズム宣言は,以前は読んでいましたが,ここ最近は読んでいませんでした。
「慰安婦問題」に関する発言などをYOUTUBEで見て,久しぶりに小林節を読んでみたくなりました。
さて,内容は,「個」と「公」についてです。
一部引用します。
日本では国のために戦って負けてしまったものだから,悲惨な目に合った話と悲惨なことをした話だけが巨大化して国ごと萎縮し,「公」から「個」へなだれをうって走ってしまった。国家アレルギーは個人を異様に偏重し,個人の権利のみ声高に主張させ個人への義務や制限を取っ払い公共心を崩壊させてゆく。
そして最後のページで小林さんは,次のセリフを言う。
「自分を一番自由にしてくれる束縛はなにか?それを大事に思う心を育てよう」
すべてが自由であることが一番不自由であり,ある程度の束縛や制限があるほうが自由だという私の考えと似ている部分があります。
制限があると,その中で試行錯誤を繰り返し新しいものが生まれ,個性となると思います。
何でも自由という状況では,本当の意味での個性は生まれないと思うのです。
すべてが自由というのは,実は不安なものなのです。
このあたりのことは,テレビ版のエヴァンゲリオンでも語られていました。最終話「世界の中心でアイを叫んだけもの」です。
マンガにしては,文字が多すぎて読むのも大変疲れますが,深い思考を迫られる1冊には違いありません。
社会科教師であれば,いろいろな視点を持っておくべきだと思います。
その視点を持つための必要な1冊であると思います。
- 作者: 小林よしのり
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 1998/06/01
- メディア: ペーパーバック
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