半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2252 給食の残菜について考える

昨日,発行した学年通心18号より抜粋します。

■学校給食が始まって約1ヶ月がたちました
 学校給食が始まって約1ヶ月がたち,給食準備もずいぶんと慣れて手際も良くなってきています。準備から終了まで何とか時間内でできるようになりました。私も火曜日は1組,木曜日は,2組で給食を一緒に食べています。この時に気になることがあります。それは残菜量です。その日のメニューや暑さなど条件によって違いますが,ご飯や野菜など食べ残しが多いのです。もちろん,食べる前に自分が食べきれる量に調整させています。全体的に食べる量が少ないことが原因のひとつだと思います。現在の正確な残菜量はわかりませんが,市学校給食検討委員会の第1回検討委員会資料によれば,1日平均1校あたり8.4kg,残菜率では2%(平成17年12月の調査)ということです。これを市全中学校で考えると,1日あたり227kgとなります。
 このような数字だけを挙げて説明しても,この残菜問題が解決するとは思っていません。大切なことは,家庭や学校で「食」の大切さについて教え,しっかりと考えさせることです。
 そこで,「食」の大切さについての二つの話を紹介します。
 一つ目は,助産師で絵本『いのちをいただく』の作者である内田美智子さんの話です。「出産・育児も食育も,根底にあるのは『命』への感謝。今は覚悟もないまま親になり,食べ物を単にモノとしか見ていない人があまりにも多い。食べることは生きることそのもの。最も手を抜いてはいけない事柄なのに,最も手を抜いてしまっている。」(2010年1月10日 西日本新聞
 二つ目は,大分の漁師である村松一也さんの話です。食育活動の一環として,ある小学校で開かれたお魚チャレンジ講座。講師で呼ばれた村松さんは,子供から大切に育てた魚を殺して食べることをかわいそうだとは思わないのかと問われた。村松さんは,こう答えた。「モジャコ(ブリの稚魚)を捕まえた時点で,彼らは,俺たちに育てられるように運命が変わってしまった。だから,大切に育てる。赤ん坊の頃からいい餌を食べさせて,毎日,気をつけて目をかけちょる。そして,食べることによって運命がまっとうできるわけじゃ。一番かわいそうなのは,食べ残すことなんじゃ」(『いのちをいただく』(内田美智子 西日本新聞社
 子供と一緒に食材を買ったり,料理したりすることもいいでしょう。しかし,何よりも大切なのは,家族が一緒に食卓を囲み子供と会話をすることだと思います。食事をしながら,学校のこと友達のこと悩んでいること将来のことなど子供とコミュニケーションをとることもできるのです。