●「流れ星が消えないうちに」(橋本紡 新潮文庫)★★★
連日の体育大会の練習とびっしりつまった授業のため,今週末は疲労困憊で迎えました。
本当に教師という仕事は,体力勝負という部分が大きいと思います。
疲れた体を癒すために,久々に恋愛小説を読みました。
恋人の死によって,日々喪失感を感じている主人公,奈緒子。
死んだ恋人の親友である功。
お互いの心の空白を埋めるために,やがて付き合うようになります。
しかし,2人の間には,死んだ恋人の思い出があります。近づこうとしても近づけない。
1つになろうとしてもなれない。
読んでいてとても切なくなります。
タイトルでもわかるとおり,とても美しい話です。
中高生にオススメの恋愛小説です。
その中から,引用します。
〈引用はじまり〉
「世の中には動かなきゃ見えてこないものがあるんだよ。俺はそういうのをずっと避けてきたんだ。でも,これからはできるだけ動こうと思っている。たとえ状況自体は変わらなくても,見る目が…いや俺たち自身が変わるはずなんだ」
〈引用終わり〉
巻末に重松清さんが解説を書いていましたが,これがまたいいんですねえ。
また,引用します。
〈引用はじまり〉
「亡くなったひとが「星になる」のは,ただ遠くへ行ってしまうということだけを意味しているのではない。星は変わらない。たとえ四季おりおりに夜空の中で配置を変え,夕暮れから夜明けまでの間に東から西へ弧を描いて流れてはいても,また夜が訪れ,あるいはひとめぐりすると,星は変わらずそこ光っている。亡くなったひとも,同じではないか。」
〈引用終わり〉
疲れた体でしたが,心は大学生の頃に戻ったようでした。
- 作者: 橋本紡
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/06/30
- メディア: 文庫
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