半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2055 卒業はどうして「おめでとう」なのか

今日の放課後,体育館で部活を見ているとひとりの3年生がきました。私にアルバムにメッセージを書いてほしいということでした。
さっそく,職員室に戻り「卒業おめでとう」のメッセージを書き,渡しました。
さて,書いた後でふと思いました。
「卒業おめでとう」と言うけれど,どうしておめでたいのだろうか。
義務教育なので,ほんとんどの生徒は卒業できます。もちろん,履修単位が不足しているかとか,テストの点が悪いとかの理由で卒業できないことはありません。
苦労を重ねて,努力を重ねて3年間中学校に通った生徒ならば,「おめでとう」でもいいでしょう。しかし,ほとんどの生徒は,普通に通った生徒のはずです。
なのに,どうして「おめでとう」なのでしょうか?

話は変わります。
今朝の通勤の車中で,FMラジオを聴いていたら,南三陸町戸倉中学校の卒業式の様子が紹介されました。この中学校は,2年前津波によって教師一人,生徒一人が亡くなりました。
3月9日は,その学年の生徒の卒業式でした。卒業証書授与の時に,担任の先生が生徒の名前を一人ひとり読み上げ,一人ひとりが大きな声で「はい」と返事をします。
そして,亡くなった生徒の名前がよばれました。すると…。



卒業生全員が返事をしたのです。
聴いていて,ジーンときました。


3月15日は,うちの学校の卒業式です。
生徒全員が名前をよばれ,そして返事をして,卒業証書を受け取ります。
これが当たり前ではないのです。
東日本大震災によって,校舎もない,体育館もない,共に過ごした仲間が全員揃わない学校もあるのです。
当然のように卒業できる君たちは,とても幸福だと思わなければいけません。

大きなケガや病気や災害にあわず,無事に過ごし,仲間と一緒に卒業できることに対して「おめでとう」と言うのではないかと思いました。