半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

5786 経験を並べる

最近,書斎にある本を適当に選びパラパラとページをめくることが日課になっています。

さて,今日の本は,「登山の哲学」(NHK出版新書 2013年)です。

 

著者は,エベレストをはじめ8000mを越える世界14座を日本人で初めて登頂した竹内洋岳さんです。

その中でなるほどと思った部分を紹介します。

〈引用始まり〉

私にとっての経験とは,積み重ねるものではなく,並べるものなのです。経験が増えれば増えるほど,数多くのディテールが知識となって記憶にインプットされます。そのディテールとディテールとの隙間を埋めていく作業が「想像」です。だから,経験の積み木のすべてが見渡せるように,テーブルの上に広げておく。そして,並べてある位置を移動させたり,順番を入れ替えたりしながら,隙間を埋め尽くすほど想像を膨らませていくわけです。

〈引用終わり〉

一般的に,経験は積み重ねるものだと思われがちです。

私には,経験を並べるという発想はありませんでした。

確かに積み重ねた経験を一望することは難しいものです。下層にある経験は自分では見えなくなってしまいます。

しかし,経験を並べておくですべての経験が一望できますし,経験の隙間を埋めたり,個々の経験をリンクさせたりすることもできます。

この考えに基づけば,37年間の教師経験をさらに生かすことができると思いました。

 

「経験を縦に積み重ねるのではなく,横に並べてみる。」