半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

5119 思い出を処分する勇気

沢野ひとしさんの「ジジイの片づけ」(集英社)を読み終わりました。
この本に出てきた「明窓浄几(めいそうじょうき)」という言葉です。明るい窓と清潔な机,つまり,学問をするのに適した明るく清らな書斎のことを意味するそうです。私が目指している書斎の目標が見つかりました。さて,物を捨てるということは,その物に宿った思い出を捨てるということです。ですから,人は物をなかなか捨てられないということにうなづきました。沢野さんは,捨ててきた物のエピソードを紹介しながら,その物に宿った思い出も紹介しています。その思い出が切ないものが多かったです。
特に最後の「死んだあとの片づけ」というエピソードが心にしみました。
私も書斎の本をどんどん処分しています。段ボールに詰める時に,それらの本のページをめくるとその時々の思い出が頭に浮かんでくるものもあります。しかし,意を決して処分してきました。ただ,大学生の頃に出会い衝撃を受けた椎名誠さんの「哀愁の街に霧が降るのだ(上)(中)(下)」(情報センター出版局)は,今でも書斎の一番上の本棚にあります。大学生の思い出を捨てられずにいるのです。沢野さんの書斎の写真がここに掲載されています。