半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3543 星野君の二塁打

小学5年生の道徳教材に「星野君の二塁打」という話があります。
あらすじは,こんな感じです。

バッターボックスに立った星野君に、監督が出したのはバントのサイン。しかし、打てそうな予感がして反射的にバットを振り、打球は伸びて二塁打となる。この一打がチームを勝利に導き、選手権大会出場を決めた。だが翌日、監督は選手を集めて重々しい口調で語り始める。チームの作戦として決めたことは絶対に守ってほしいという監督と選手間の約束を持ち出し、みんなの前で星野君の行動を咎める。「いくら結果がよかったからといって、約束を破ったことには変わりはないんだ」「ぎせいの精神の分からない人間は、社会へ出たって、社会をよくすることなんか、とてもできないんだよ」などと語り、星野君の大会への出場禁止を告げるシーンが展開する。

この教材を使った指導案がネット上にありましたので,指導過程を紹介します。

ねらいは,
監督の話を聞いている時の星野君の気持ちを考えることを通して,きまりや規則を守ることで安心して生活できみんなで楽しく暮らしていけることに気づき,自分たちで決めたきまりは進んで守ろうとする態度を育てる。
でした。


①バントとはなんですか。
②監督に呼ばれて,バントを命じられた時,星野君はどんなことを考えたでしょうか。
③二るい打を打ち,県内野球大会に出場することになった星野君は,どんな気持ちだったでしょう。
④星野君の取った行動に賛成ですか。反対ですか。
⑤監督の話を聞いて,星野君はどんなことを考えただろう。
⑥きまりを守ってよかったと思うことがありますか

典型的な基本型の道徳授業です。


これと似たような出来事が現実に起きました。
そうです。日大アメフト部の話です。

この実話を使って道徳授業ができそうです。

①タックルとは何ですか。
②監督によばれて,タックルを命じられた時,A選手はどんなことを考えたでしょうか。
③タックルで相手選手を倒し,勝利した日大のA選手は,どんな気持ちだったでしょう。
④A選手のとった行動に賛成ですか。反対ですか。
⑤監督の話を聞いて,A選手はどんなことを考えただろう。
⑥命令に従ってよかったと思うことがありますか。

もちろん,この2つの話は同じではありません。
星野君は,命令違反しても人命に関わるようなことにはなりません。
もし,星野君がピッチャーで監督から,デッドボールを投げろと命令されたら,従うのでしょうか,従わないのでしょうか。
こうなると,アメフト部と同じになります。

命令に従うかどうかの判断をどうするか,判断の基準をどこにおくか。

そういった意味でも,道徳授業をつくり実践するためには,教師の感性が重要となってくるのです。