半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3221 読破61冊目「下山の時代を生きる」

●「下山の時代を生きる」(鈴木孝夫平田オリザ 平凡社新書★★★
鈴木先生の本は,ほとんど読んでいます。
共通することは,とてもユニークな視点で日本や外国を論じていることです。
今の日本があるのは,島国という幸運な地理的条件だったからという考えに大きくうなづきました。
また,日本語が素晴らしい言語であることをとてもわかりやすく論じられています。
この本では,教育についても論じられていましたので紹介します。

〈引用はじまり〉
日本はいまこそ思い切って少数の英才を対象としたエリート教育を考えるべきではないでしょうか。戦後の日本では平等主義が広がったのはいいのですが,エリートを潰すことばかりやってきた。たしかに戦前のエリートにはよくない面もあったけれど,考えてみればエリートがしっかり働いていたから日本は明治維新からわずか100年ちょっとで欧米も無視できない大国になったんです。
(中略)
エリートなんかを育てようとすると「ずるい」と言い出す人がいるんです。だから小学校で全員英語をすることになる。でもよく考えてみれば,人生で本当に英語が必要な人は全体の一割もいないはずです。
(中略)
むしろ生まれたときから大学院まで母語でしっかり勉強していかないと,しっかりした世界観が身につかない。
〈引用終わり〉

私も小学校から英語を教えることに対して疑問を持っていますので,鈴木先生の論はとても興味深く読みました。
修学旅行での体の疲れがまだ残っていますが,読書で頭を柔らかくできた1日でした。