●「栄光の岩壁(下)」(新田次郎 新潮文庫)★★★★
主人公の竹井岳彦は,アイガー北壁登攀に挑みますが,悪天候のため断念しなければいけなくなりました。
外国の山に登るためには,莫大な費用がかかります。
二度とアイガーに挑むことはできないとあきらめかけた時に,妻の支援金で再チャレンジすることになります。
しかし,悪天候のためアイガーを断念した竹井は,近くのマッターホルン北壁に挑みます。
失った足から出血しながら,彼はついに山頂にたどり着きました。
その時の様子を新田氏は次のように描写しています。
〈引用はじまり〉
「岳彦は突然,大空に頭を突っ込んだ。そこが頂上だった。」
また,登攀の喜びを日本で待つ妻に次のような電報を送りました。
「われ,汝との愛の,限りなきよろこびの中にマッターホルン北壁に成功せり」
〈引用終わり〉
さらに新田氏は,この小説を次の文で締めくくっています。
〈引用終わり〉
「この小説のモデルは芳野満彦氏である。氏は水戸のモリ商会の店主服部洋子さんと結婚して現在二人のパパである。」
〈引用終わり〉
この文を読んだ時に,大きな安堵と大きな感動に包まれました。
上下巻800ページでしたが,一気に読み終えました。
満足感で一杯になった1冊です。
先ほど,youtubeでマッターホルン北壁で検索したところ,登攀の動画がアップされていました。
動画を見ているだけで足がすくみました。
動画はこちら
- 作者: 新田次郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1976/11/02
- メディア: 文庫
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