●「戦艦大和ノ最期」(吉田満 講談社学芸文庫)★★★★
昭和20年4月、戦艦大和による水上特攻に参加し奇跡的に生還した吉田さんが書いた戦記物です。
漢字とカタカナで書かれているため,読むスピードが遅かったですが,緊迫感が伝わってきました。
死にに行く人は,戦艦大和の中で何を考えていたのでしょうか。
理不尽な死に自分なりの理由を模索していた人もいました。
次の一文を是非,現代の若者に読んでもらいたいです。
〈引用始まり〉
進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目覚メルコトガ最上ノ道ダ
日本ハ進歩トイウコトヲ軽ンジスギタ
私的ナ潔癖ヤ徳義ニコダワッテ、本当ノ進歩ヲ忘レテイタ
敗レテ目覚メル ソレ以外ニ、ドウシテ日本ハ救ワレルカ
今、目覚メズシテ,イツ救ワレルカ
俺タチハ、ソノ先導ニナルノダ
日本ノ新生ニ先駆ケテ散ル
マサニ本望ジャナイカ
〈引用終わり〉
日本の新生のために命を賭けた多くの若者がいたのです。
私を含め我々現代人は,その多くの命を無駄にした生き方をしていないのでしょうか。
読後に静かに泣いてしまいました。
平和すぎる今だからこそ,読んで欲しい1冊です。
- 作者: 吉田満,鶴見俊輔
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/08/03
- メディア: 文庫
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