大晦日になると,小さい頃を思い出します。
私が小学生低学年の頃です。
父,母,兄,姉,祖母と一緒に過ごした大晦日です。
大掃除が終わると父は,おもむろにそばを打ち始めます。
母はおせちを作り始めます。
お腹をすかせた私は,母にせがんでおせちの端っこをもらいます。
夕方になると,父は早々に酒を飲み始めます。
夕食は,父が作った手打ちそばをみんなで食べます。
その頃には,紅白歌合戦が始まります。
子供たちはこたつに入り,父は相変わらず酒を飲みながら,紅白を見ています。
母は,気に入った歌手が登場すると料理の手を休め,テレビの近くにやってきます。
紅白が終わりに近づくととても眠くなってしまい,気持ち良いこたつの中で眠ってしまいます。
こんな感じで,毎年除夜の鐘を聞くことができないのです。
私の記憶にある大晦日は,決して豊かではない暮らしの中で訪れた特別な日でした。
今では,祖母,父母は亡くなり,あの頃の父母の年齢をはるかに追い越した自分がいます。
あの頃,父や母は何を考えていたのだろうかと思います。
どんな気持ちで,大晦日を迎えていたのでしょうか。
現在,妻が紅白歌合戦を真剣に見ています。
その横で私がブログを更新しながらチラチラと見ています。
今年もいろいろな出会いがありました。
いろいろな学びがありました。
いろいろな人たちのお世話になりました。
本当にありがたいと思います。
最後に,私が好きな2人の俳人の句を紹介します。
「あすは元日が来る仏とわたくし」(尾崎放哉)
「ほんにあたたかく人も旅もお正月」(種田山頭火)