半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2507 これってボランティア?

今週,うちの学校はボランティア週間となっています。
生徒たちにボランティア活動をしようと声掛けを行っています。
その一環として,今日の午前中は,地域清掃を行いました。
うちの学校は,西海国立公園のちかくに立地していますので多くの観光客が訪れます。
そこで,1年生全員で観光施設の清掃を行ったという訳です。
しかし,これは本当にボランティアなのでしょうか。

ボランティアの1つの定義として,厚生労働省では,以下のことを挙げています。

一般的には「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」を指してボランティア活動と言われており、活動の性格として、「自主性(主体性)」、「社会性(連帯性)」、「無償性(無給性)」等があげられる。


学校において,ボランティア週間やボランティア活動を年間行事にしっかりと位置付けて,全校生徒で取り組むことは,当然生徒の自発的な意思ではありません。
つまり,学校行事として職員が企画し,取り組ませることはボランティアとは言えないことになるのです。
同じように,問題行動を起こした生徒に対する罰として,ボランティア活動(ほとんどが清掃などをさせる場合が多いが,これはこれで問題と考えています。なぜならば,清掃は罰ではないからです)をさせるということもあります。
これに至っては,ボランティアの意味を全く解っていないということになります。

細かいようですが,ボランティアとは何か生徒に考えさせるためには,教師自身が正しく使う必要があると思うのです。
ですから,今回のような行事は,「ボランティア週間」とか「ボランティア活動」という言葉を使うことを避けて,
「ボランティアを考える週間」とか「地域清掃」という言葉を使うべきだと思います。

しかし,1年生たちは地域清掃を本当によく頑張りました。
また,私が提案した,観光客に「何かお困りではありませんか」や店の人に「お手伝いしましょうか」という声掛けもしっかりとできました。
私の想像以上に頑張ってくれたと思います。
このような体験を通して,ボランティアとは何かについて考えた生徒が多かったと思います。
良い行いを通して,良い心を育てる,つまり「行為の教育」→「心の教育」という流れもある意味必要なのです。