半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2377 読破75冊目「慟哭の海峡」

●「慟哭の海峡」(門田隆将 角川書店★★★
アンパンマンの作者であるやなせたかしさんの弟である柳瀬千尋さんは,太平洋戦争中に,台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡で亡くなりました。
駆逐艦「呉竹」に乗っていた千尋さんは,アメリカの潜水艦の攻撃を受け,艦と共に海に沈み亡くなったのです。
やなせたかしさんは,この弟の千尋さんの姿をアンパンマンに重ねたのではないかと言われています。
自己犠牲で人を助けるアンパンマンには,このような壮絶な背景があったのです。
このことをやなせたかさんは,「はじまりは,わからない」という詩で次のように書いています。

 アンパンマンを書き始めたとき
 なにか不思議となつかしさをおぼえた
 どこかぼくの弟に似ている
 ドキンちゃんはなぜか
 ぼくの母親の面影があり
 性質は妻に似ている
 (中略)
 アンパンマンについて話すことは
 あるいは自分史と重なるかもしれない
 お恥ずかしいがしかたがない


アンパンマンの奥深さの意味が,ようやくわかった気がしました。

慟哭の海峡

慟哭の海峡