半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2293 読破54冊目「必ず成功する 新展開の道徳授業」

●「必ず成功する 新展開の道徳授業」(鈴木健二 日本標準)★★★★★
今までに,鈴木先生の講座は何回か受けてきました。
道徳授業の素材探しや料理法,そして発問づくりなど多くのことを学ぶことができました。
特に道徳授業づくりのセンスが素晴らしいといつも感心していました。
そんな鈴木先生の道徳授業づくりの奥義がぎっしりと詰まった1冊です。
この本からの学びをいくつか紹介します。
①道徳授業ができるまでの鈴木先生がどんなことを考えたかが書いてあります。思考過程を知ることで,自分が創る時の参考になります。
②小さい吹き出しの中に,指示や発問の意図が明確に書かれています。授業の中で行うことすべてに目的があります。ただ何となくとか指導書に書いてあったからでは,ダメです。
③ねらいの書き方が大いに参考になります。
道徳授業のねらいの部分に,「道徳的実践力を高める」とか「くじけない心を持ち,社会を変えようとする態度を育てる」など50分間の授業ではとうてい達成できないような大きすぎるねらいが書いてあることが多いようです。50分間の道徳授業でできることは限界があります。そのことを理解した上で,ねらいを設定することが大切です。
ちなみに鈴木先生は,「意識を高める」とか「態度を育てる」とか「気持ちを持たせる」という語尾で書かれています。
語尾までしっかりと考えてあります。
④生徒全員を授業に参加させる技がいくつも取り入れられています。
授業というのは,全員参加させることが重要です。しかし,現実を見ると分かっている生徒中心に進めて分からない生徒は置き去りにしているような授業を平気で行っている教師がいます。
楽しく強制的に授業に参加させることが大切なのです。
⑤発問や指示の種類がバラエティ豊かです。
「この時の○○さんはどんな気持ちだったでしょうか」とか「今日の授業の感想を書きましょう」とか,ついついワンパターンな授業をつくってしまいがちです。
ワンパターンになりがちな発問づくりですが,この本から大きなヒントと刺激をもらました。
次に道徳授業をつくる時に,この本に書かれている発問を参考にしていきます。
⑥板書の仕方がよくわかります。
指導案を見るとなかなかいい授業のように思えても,板書がまったくダメな授業があります。授業のシュミレーションをしっかりとしていないのです。また,板書の重要性を認識していない教師が多いのです。
生徒は,授業後に板書を見て,今日の授業で学んだことを定着させたり,深めたりするのです。
中学教師は,もっと板書について学んでいかなければいけないと思います。


今後,何回も読み直してさらに学びを深めてみたいと思える本です。
若手教師にとっては必読です。

必ず成功する!新展開の道徳授業

必ず成功する!新展開の道徳授業