半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

2196 57冊目「先生!」

●「先生!」(池上彰編 岩波新書★★
以前,テレビで池上さんが教育について発言しているのを見て,冷静に教育を見つめようとしている人だなと思いました。こんな内容だったと思います。

学力低下」と叫んでいるが,世界的に見ると日本の学力はそんなに低いものではない。

そういったこともあり,今回この本を購入してみました。
内容は,池上さんの呼びかけに応じた26人の著名人が自分が教わった先生に関するエピソード綴ったものです。
ありがちな企画ですが,書いた人たちがほんのちょっぴり異色でした。
例えば,天皇陛下の心臓手術を執刀した天野篤さん,痛くない注射針を開発した岡野雅行さん,漫画「鈴木先生」の作者武富健治さんなどです。岩波書店ぽいという感じですね。
中でも一番的を得ていたのが,しりあがり寿さんの漫画です。
タイトルは,「センセイの最期」です。
その漫画の最後のコマに次のセリフがありました。
「先生は教師,生徒はお客さんと呼ばれるようになりました」
同じようなことを武富健治さんは,こう書いていました。
「現在日本の学校教育は,「消費者」を名乗りはしないものの,実質「消費者感覚」にだいぶ侵食されてしまっている人々の考え方や意見に囲まれ,大変「しんどい」状況にあると思います。」
ちょっと元気なれる本かなと想像していましたが,そうではありませんでした。
日本の教師がもっと元気になるような本を誰か書いてくれないでしょうか?

先生! (岩波新書)

先生! (岩波新書)