●「笑う,避難所」(頓所直人 集英社新書)★★★
東日本大震災関連の本を少しずつ読んでいます。
この本は,そのタイトルが気になって購入しました。
私が新聞やテレビのニュースで知っている避難所生活とは違い,自由な空気が漂っている避難所がありました。
石巻市にあった「明友館」です。
この明友館で,人々を助けるために,懸命に活動した人々を描いたノンフィクションです。
この避難所で働く千葉恵弘さんは避難生活をしている人々のことを本当に考えた支援を進めた人です。
例えば,次のようなエピソードが紹介されています。
〈引用始まり〉
「プライバシーが保たれないということで,多くの避難所では段ボールの仕切りが採用されている。しかし,明友館では使おうという話にはならなかった。千葉がその理由をこう説明する。あれはみなさんをつなぐ妨げになるんですよ。そこに若干でもプライベートな空間があると,人間はどうしてもそこを自分のテリトリーにしてしまう。それこそ隣の人の毛布の毛玉が一個飛んでくるだけでも嫌になるわけですよ。夜中にペンで書き物をしている方がしれば,その小さな音でさえも安眠妨害だって,頭にくるようになる。うちの避難所でも,夜中に誰かせきでもしていると,『昨日,ずいぶんせきをしていたけど,大丈夫だったかや?』って自然に声をかけていますからね。」
〈引用終わり〉
テレビや新聞では伝わってこない震災のその後,いろいろな本を読んで少しでも理解する努力をしようと思います。
明友館で働く人々は,とてもかっこいいと思いました。
時がたつにつれて,東日本大震災のことはあまり伝わってこなくなりました。しかし,まだ続いてるのです。
過去のことではないんです。
明友館のHPはこちらhttp://www.meiyukan.com/
- 作者: 頓所直人,名越啓介
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/01/17
- メディア: 新書
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