半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

1993 7〜11冊目「鈴木先生⑦〜⑪」

●「鈴木先生⑦〜⑪」(武富健治 アクションコミック 双葉社★★★★
ついに読破しました。全11巻。漫画とはいえ,読み応えがありすぎて時間がかかりました。全巻を通読するといろいろな伏線がはられていたことがわかります。
鈴木先生の説教でもない,情熱的でもない,哲学的な語りによって,生徒たちも少しずつ成長していきます。もちろんこんな語りをしても,目の前の中学生はほとんど理解できないでしょう。しかし,教師としての構えについては学ぶべき点が多々ありました。例えば,次のようなものです。
〈引用はじまり〉
実際現場に入って担任を持てば,クラスの生徒と一年間,関わり続けることができる。そうなったとき,普段からその場だけの効果にとどまらない応用力を持つ生きた指導を心がけていれば,夏までには四ヶ月分,冬までには八ヶ月の手立てを積むことができるだろう。未来の自分がピンチにのときによりよい指導ができるように,手立てのもとをタイムカプセルを土に埋めるようにして,生徒らの胸のなかに埋めておくんだよ。そして,その過去の自分からのプレゼントたる手立てが生徒から届けられたとき。その瞬間の自分の脳力をフル回転して,心の汗をかきまくって…仕込んでおいたものが生み出してくれるその瞬間の手立てを,もらさず最大限に活用し,目一杯打ち込むんだよ!
普段からのたゆみなき工夫とその場の全力投球。教師が二つをしっかりやれてなきゃあ,生徒らに…普段の授業をいいかげんに聞いて,テスト前の詰め込みだけでOKだと体で言っているようなもんじゃねえかな?
〈引用終わり〉

明日からいよいよ授業開始です。この漫画のおかげで生徒の見方が少しだけ変わってくると思います。

鈴木先生(11) (アクションコミックス)

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