半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

5502 人間ドラマを教える

2年生の社会科で「化政文化」を扱いました。

歴史的分野で文化を扱う時は,人物名と作品名を教える教師がいます。

例えば,プリントに

(     )…「南総里見八犬伝

(     )…「神奈川沖浪裏」

と書き,(  )に人物名を書きましょう。

といった具合です。

私は,「化政文化」を扱う時は,必ず漫画「風雲児たち」(みなもと太郎 リイド社)を使います。

この中に,前野良沢杉田玄白,中川順庵がオランダ語を必死に翻訳しようとする場面があります。

そして,ついに翻訳が完成し,いよいよ,世に出すという時に,前野と杉田は仲たがいをします。

医学書という人の命を直接扱う本ですから,完璧を目指した前野と一刻も早く多くの医者に読んでもらい人命を救いたいという杉田との意見の違いがあったのです。

その結果,「解体新書」は世に出ることになりました。しかし,その本には前野良沢の名前は記載されていませんでした。

こういった大きなドラマは,教科書には紹介されていません。

ですから,文化を教える時は,こういったドラマを紹介することが多いです。

空海,鑑真,大黒屋光太夫高野長英伊能忠敬などです。

歴史=人間ドラマなのですから。