半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3297 教育の無償化

昨日の読売新聞の論説で,山粼正和さんが「高校の無償化」について書いていました。
この記事を読む前は,無償化に賛成でしたが読んだ後は考えが変わりました。
「高等教育無償化は愚策」であると断言されています。

〈引用始まり〉
「義務教育を終え,高校,大学へ進む最大の資格は本人の「意欲と能力」なのだが,不思議なことに,かねて文教政策の論議のなかにこの一句を聞いたことがない」
(中略)
日本の小中学校には卒業試験も留年制度もない。授業内容の半分も理解していない生徒でも,そのまま上級学校に進学でき,そこでも無学をとがめられない。分数の足し算すらできない大学生がいるのが実情であって,日本は「高学歴低学力」社会に陥ろうとしている」
〈引用終わり〉

確かに完全な無償化が実現すれば,学習意欲が低い生徒でも行けますから,「何となく高校へいく」「とりあえず高校へ行く」「友達がいるから高校へ行く」などの理由の生徒も出てきます。
そのような生徒は,授業に真面目に参加することもなく,スマホを扱ったりバイト優先になっってしまう可能性もあるのです。

そこで,山粼氏は以下のような対策を出しています。
〈引用始まり〉
「その意欲と能力と厳正な審査を条件に,授業料のみならず生活費も支援すべきである」
〈引用終わり〉

なるほどと思います。
その厳正な審査には,学習状況と同じように生活状況(学級活動や生徒会活動,ボランティア活動など)も基準に入れて欲しいと思います。
自分の時間を割いてまで学校のために活動してくれる素晴らしい生徒もいます。
好成績でなくても,このような人間的力溢れる生徒も無償にしてほしいと思います。