半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3226 問題解決的な発問

ある会でのある先生のアドバイスです。
道徳の教科化に向けて,発問を考える必要があります。
例えば,学習指導要領解説に「問題解決的な学習を取り入れるなどの工夫を図る」と明記されていますので,「自分ならどうしますか」という発問をしたほうがいいと思います。

さて,この発問について,どう考えますか。
いくつかの疑問と心配が湧いてきます。

①人間が判断をする時は,いろいろな状況,予想,情報などを総合して行います。しかし,道徳の教材に書かれている情報だけで,自分なりの判断できるのでしょうか。
②ほとんどの生徒は,人生経験があまりありません。ですから,経験で判断できる生徒があまりいないということになります。
③結果的に,上辺だけのきれい事の答えしか出てこないように思います。

「自分ならどうしますか」という発問に対しては,
「私は主人公ではないので,わかりません」という答えが正解なのです。
これでは,思考の広がりと深まりがおこるはずがありません。

以上のことから,
「自分ならどうしますか」
「あなたには何ができますか」などの発問に対して疑問を持っています。

詳しくは,以下の著作を参考にしてください。

『道徳授業に何ができるか』(宇佐美寛 明治図書
『道徳授業改革の提案』(斎藤勉 明治図書
『価値葛藤は迷信である』(宇佐美寛 明治図書
『道徳授業をどう変えるか』(宇佐美寛 明治図書