半径3mの教育論

中学教師の教育雑感記

3407 道徳の教科書

今朝の読売新聞の社説は「考えて議論する授業の土台に」というタイトルで道徳教科書検定について論じていました。
その一部を引用します。<引用始まり>

「電車とホームの間に挟まれた女性を救出しようと,乗客が力を合わせて車両を押す様子を捉えた新聞の写真が,教材になった。助け合いの大切さを伝える内容だ。東日本大震災の被災体験も多くの教科書で扱われている。子供の心に響く,身近な題材を選ぶ工夫が求められる」<引用終わり>

小学校の道徳教科書には,オリンピックやパラリンピックなどスポーツ選手を扱った資料が多いそうです。
これに関する内容項目は,「強い意志」「夢の実現」などでしょう。
確かにタイムリーな資料です。生徒の食いつきもよいと思います。
しかし,スポーツが好きな生徒だけではありません。全く興味がない生徒もいます。
そんな生徒にとっては,すごい人だという認識はできるかもしれませんが,深く考える資料とは言えないと思います。
また,立派すぎて自分と重ねて考えることが難しくなる可能性が高いのです。
ですから,社説に書いてあるように,子供の心に響く,身近な題材を選ぶ必要があるのです。
身近な題材と言うと,地域に関わる資料のように聞こえますが,そうではなく,生徒が自分と重ねることができる資料のことを言うのです。
そういった身近な資料を探すセンスが教師には必要になってきくるはずです。
道徳教科書が出来るからこそ,教師はこのセンスを磨いておくことが大切なのです。